和室を構成しているのは建具です
和風造りをイメージすると、障子、襖、そして欄間になるのではないでしょうか。それは和室が壁よりも建具で構成されているからなのです。
日頃の手入れが簡単で高級感も演出
最近では、通常の紙障子の代わりにガラスを入れた東障子が多くなりました。その魅力は、なんといっても内側(和室)は紙障子に見せ、外側はガラス戸のように見せる多機能性と障子紙を張り替える必要もなく、日頃の手入れが簡単という、実際的な機能性にあるようです。
しかもそのうえ、ガラスにも色々あり、障子のよさを損なわずに重量感もあって高級感も演出できるということが、人気の要因といえます。
また、障子は組み子の組み方によって色々の種類があり、部屋にさまざまな変化をつけることができます。一般的には、障子は割りが荒い程洋風な感じが出て、これは居間に続く和室に好まれます。一方、組み子を細かくするほど繊細な感じになって、純和風や数奇屋にあった障子になります。
やわらかい陽射しを
充分に取り入れやすらぎを
日本文化は木と紙の文化ともいわれてきました。たとえば、障子や襖の利用の仕方で和風の演出は一段と高まります。とくに障子においては、組子のデザインにより、さまざまな表情の変化を楽しむことができます。荒組にすると素朴でおだやかなモダンな雰囲気があり、居間に続く和室や洋風の居間として使われます。また細かい組子で繊細なイメージを演出するなど、内部仕上げとの調和を考えて自由にデザインできる点でも、たいへん汎用性があります。
落ち着いた重量感が
和風の部屋を引立てる
中戸は、和室内のもうひとつの玄関戸ともいうべきものです。したがって間仕切り用というよりは、独立した部屋のドア的要素をもっています。それだけに落ち着いた重量感が不可欠です。
和室に格調と落ち着きを創る
襖は唐紙ともいわれ、その昔、唐から伝わってきた紙を戸に張りつけたのがはじまりといわれています。書院造りでは、室内の間仕切りに襖が用いられました。襖には縁のある普通の襖、縁のない「太鼓張り襖」、一部に紙障子の額を入れた「源氏襖」等があります。
また、引き手の辺りに横一文字に別紙を貼った「帯入り」、襖の袖の部分に別紙を張り合わせたものを「腰張り」、引き手の部分に縦に別紙を貼るのを「袖入り」といいます。
襖紙の模様の選択も、快適な家づくりには大切です。模様は大別すると、無地・総模様・腰模様の三つがあります。選択のポイントは、無地ものや総模様は六畳以下の小さめの部屋に調和しやすく、腰模様は八畳以上の広い部屋にマッチするようです。模様付きの紙を選択する場合は、なるべく品のよい小柄のものを選ぶほうが無難です。
光と風を自由に操り和室の風格をあげる
欄間は奈良時代以前にはありませんでしたが、平安時代になると彫刻を用いない格子組欄間などがみられるようになり、鎌倉時代では吹き寄せ格子や菱格子、室町時代になると採光・通風・換気という機能性だけではなく、部屋の装飾に役立つものという認識が生まれ、花弁が開いたような欄間の意匠彫刻が出てきました。
さらにその頃までは、欄間は神社仏閣や城のような大きな建築に用いられてきましたが、桃山時代の書院造り以後、住宅にも使われるようになりました。
桃山時代から
和室の格調を演出する主役
和室では、床の間、床脇についで、書院が座敷飾りとして重要な位置を占めています。
書院は、もともと鎌倉時代末期に造られた造り付けの机の一種といわれています。南北朝時代ごろまでは、出し文机と称されることが多く、出窓形式として設けられ、開口部には小障子を入れ、書見ための棚板などを付けていました。室町時代の頃から「書院造り」と称する一種の建築様式が生まれ、とくに公家の間に流行、書院建築の全盛を迎えました。桃山時代になると、さらに完全な発達を遂げて、今日に至っています。
なお書院には、平書院(文机を設けず、明かり窓だけを設けたもの。現在では床の間の採光窓としての機能)と付け書院(出書院ともいい、文机が付いていてその先に明かり採り窓が付いているもの。部屋の広さは8畳以上はほしい)があります。